転倒直後は、患者さんをすぐ起こすことから始めません。
まず応援を呼び、今の姿勢を見ます。
呼びかけへの反応。
本人の訴えと見える外傷。
周囲に何があるか。
発見時刻と、誰が見つけたか。
動かす前の事実を残します。
床にいる患者さんを見ると、
早くベッドへ戻したくなります。
でも最初の姿勢と周囲は、
後から再現できない大切な情報です。
転倒後の看護報告は、
時刻・姿勢・反応・訴え・周囲から作る。
外傷の有無を自分で決めず、
院内の緊急対応へつなぎます。
床で発見した瞬間を、そのまま残す
最初に、発見した時刻を言います。
次に、患者さんの姿勢。
呼びかけへの反応と会話。
痛みや気分など本人の言葉。
見える出血や皮膚の変化。
床、履物、柵、点滴類など、
周囲で見えた事実を続けます。
すぐ立てると言われても、
自分だけで移動を決めません。
頭を打っていないと言われても、
観察と報告を省きません。
「〇時、ベッド横の床で、
右側臥位の状態を発見しました」
最初の一文は、これで作れます。
応援が来るまで患者さんのそばに残り、
院内手順に沿って進めてください。
- 時刻|最後に確認した時と発見した時
- 姿勢|身体の向き、位置、周囲との関係
- 反応|呼びかけ、会話、本人の訴え
- 周囲|床、履物、柵、機器、物品の状態
- 経過|応援、観察、指示、移動後の変化
発見時刻、姿勢、反応、外見上の変化
痛み、気分、転倒前後について話した内容
床、履物、柵、機器、物品の位置
見ていない瞬間、分からない時刻や経過
目撃なしを、推測で埋めない
自分が転倒を見ていないなら、
転倒の瞬間を断定しません。
「床で発見した」と記録します。
本人が「滑った」と話したら、
本人の言葉として残します。
見た事実と聞いた内容を混ぜない。
発見時の姿勢も具体的にします。
仰向け、横向き、座位など、
分かる範囲で表現します。
周囲の物を急いで片づける前に、
安全を確保しつつ状態を共有する。
点滴ルートや機器の位置も見ます。
原因探しは、直後の最優先ではありません。
患者さんの安全と観察を先にします。
「なぜ転んだのですか」と、
責める聞き方をしないでください。

最後に普段どおりだった時刻も探す
発見時刻だけでは、時間幅が分かりません。
直前の巡視や会話の時刻。
最後にベッドで見た時刻。
コールが鳴った時刻。
記録で確認できる事実を拾います。
分からない時は推測しない。
不明とした上で共有します。
発見前・発見時・対応後の六行メモ
- 一行目は、最後に確認した時刻
- 二行目は、発見時刻と場所
- 三行目に、発見時の姿勢
- 四行目は、反応と本人の訴え
- 五行目に、応援を呼んだ時刻
- 六行目は、指示とその後の経過
この六行を、後で正式記録へ整えます。
事故報告書だけに事実を置かず、
看護記録にも経過を残します。
どちらを先に入力するかは、
患者さんの観察と院内手順を優先する。
記録のためにそばを離れません。
応援者と役割を分けます。
- 発見時刻、場所、姿勢、周囲をそのまま見る
- 応援要請患者さんのそばで院内の連絡経路へつなぐ
- 反応確認呼びかけと本人の訴えを事実で残す
- 指示を受ける移動や観察を自己判断せず復唱する
- 経過を記録対応後も同じ項目で変化を追う
役割を、患者・周囲・連絡へ分ける
一人は患者さんのそばに残る。
一人は周囲と機器を確認する。
一人は責任者へ連絡する。
応援が来たら役割を声にします。
全員が記録を探しに行かない。
全員が患者さんを動かそうとしない。
指示を受ける人も決めます。
『立てる』『元気』『外傷なし』を結論にしない
本人がすぐ立てると言う
本人の希望は聞き取ります。
同時に、姿勢と反応を報告する。
「立てる」という言葉だけで、
移動を新人が決めません。
応援者と院内手順へつなぎます。
発見時の状態を先に残してください。
転倒を誰も見ていない
目撃なしと明確にします。
床で発見した時刻と姿勢。
本人から聞いた話。
周囲で見えた物の位置。
事実の範囲だけを報告します。
推測で転倒原因を完成させません。
外傷が見えず元気そう
見える外傷がないことは事実です。
それだけで問題なしと決めません。
反応、訴え、普段との違いを確認する。
院内手順で必要な観察へ進み、
時間を追って変化を共有します。
- 最後に普段どおりだった時刻と発見時刻
- 発見場所、身体の姿勢、周囲の物品や機器
- 呼びかけへの反応と本人が話した言葉
- 観察した外見上の変化と未確認の内容
- 応援、指示、実施、対応後の変化、次の観察
患者経過と事故報告を混ぜない
発見時刻と場所。
患者さんの姿勢と反応。
本人が話した言葉。
見える外傷や訴え。
周囲の物品と機器。
応援要請、報告先、受けた指示。
実施後の状態と次の観察。
時系列で並べます。
「不注意で転倒した」など、
責任や原因を先に書きません。
見ていない瞬間は目撃なしとする。
本人の発言は自分の観察と分ける。
インシデント記録にも、
同じ事実を矛盾なく残します。
家族への連絡や説明は、
担当と責任者の役割を確認します。
新人が単独で原因説明をしません。

再発予防は、床・コール・支援体制から見る
直後の対応が落ち着いてから、
環境と業務の流れを振り返ります。
コールは届いていたか。
履物や床面はどうだったか。
移動前の声かけは足りたか。
観察間隔や支援体制はどうか。
患者さんの責任へ寄せません。
新人一人の見守り不足で閉じない。
医療事故情報の事例も、
再発予防を考える材料になります。
ただし他施設の対策を、
そのまま病棟へ持ち込まない。
自部署の手順と状況で検討します。
自分の振り返りは、
最初の報告文を声にすること。
発見時の姿勢を記録できたか。
見た事実と推測を分けられたか。
次回は一つだけ改善します。
患者さんへの言葉も、責めない形へ変える
「どうして一人で動いたのですか」より、「動く前に何がありましたか」と聞く。
痛みやトイレの希望など、
本人が話せる範囲を待ちます。
誘導して原因を作りません。
聞いた内容は発言として記録します。
発見時の周囲は、片づける前に役割分担する
床の物品が次の危険になる時は、
安全を確保しながら位置を共有します。
誰が患者さんのそばに残るか。
誰が周囲を確認するか。
誰が応援を呼ぶか。
動かした物があれば、
何をいつ動かしたか残します。
写真撮影を独断で行わず、
施設の記録方法へ従います。
周囲の保存より患者安全が先です。
点滴やドレーン類も、発見時の位置を確認する
患者さんだけに目を向けると、
接続機器の変化を見落とします。
どの機器がつながっていたか。
ルートの張りや抜けは見えるか。
ポンプやスタンドの位置。
確認できた範囲を報告します。
機器を戻す操作を先にせず、
応援者と現在の状態を共有する。
患者さんの訴えも同時に聞きます。
対応後は、発見時と同じ項目へ戻る
ベッドへ戻った後なども、
反応と会話をもう一度見ます。
新しい痛みはないか。
外見上の変化は増えていないか。
本人の訴えは変わったか。
発見時と同じ言葉で比べます。
「落ち着いた様子」だけで終えず、
何が変わらないかを記録する。
次の観察時刻も引き継ぎます。
申し送りは、転倒の結論より残る観察を先にする
次の勤務者が知りたいのは、
これから何を見るかです。
転倒した時刻と発見時の姿勢。
対応後までの反応と訴え。
現在残る痛みや変化。
次の観察時刻と報告条件。
この順で渡します。
原因の検討結果が途中なら、
未確定として分けてください。
事故報告の作成状況も、
患者経過とは別に共有します。
勤務後は、最初の三十秒を声にして再現する
- 発見時刻を言う
- 姿勢と反応を伝える
- 応援を求める
この三つを声に出します。
観察項目を全部暗記するより、
一人で動かさない型を持つ。
次回の類似場面で、
身体が先に動くのを止められます。
できなかった反省だけでなく、
守れた事実も残してください。
発見者から責任者へ、情報を一度で渡す
応援者が増えるほど、
同じ質問が患者さんへ重なります。
発見者が時刻と姿勢を伝える。
観察担当が反応と訴えを続ける。
責任者が指示と連絡をまとめる。
役割ごとに情報を集めます。
新しく分かった事実は、
責任者へ一本化して戻す。
誰が家族連絡を担うか。
誰が次の観察を行うか。
最後に全員で復唱してください。
情報の抜けと重複を減らせます。
日勤へ交代する時も、
発見者が不在なら誰が説明するか。
記録と口頭の内容が一致するか。
責任者と確認してください。
家族から質問を受けた場合は、
自分の役割を越えて答えず、
説明担当へ正確につなぎます。
患者さんの経過と、
組織としての連絡を分けます。
その境界も記録へ残せます。
転倒直後の事実は、
時間がたつほど混ざりやすくなります。
患者さんのそばで短く残し、
正式記録へ早めに移してください。
応援者の記憶とも照合する。
違いがあれば推測で統一せず、
各自が確認した範囲を示します。
発見時の一分を丁寧に扱うことが、
後の観察と説明を支えます。
短い事実ほど先に残します。
あとで直せる記録にします。
よくある質問
まずベッドへ戻しますか?
新人一人で移動を決めません。
発見時の姿勢と反応を見て、
応援を呼び、院内手順と、
受けた指示に沿って進めます。
見ていない転倒をどう書きますか?
「床で発見」と事実を書きます。
本人の説明は発言として分け、
目撃していない瞬間を、
推測で補わないでください。
頭を打っていないと言われたら?
本人の言葉として記録します。
その一言だけで観察を終えず、
反応と普段との差を共有し、
院内手順に沿って進めます。
インシデント記録が先ですか?
患者さんの安全確保と観察、
必要な報告を先にします。
記録の順番は院内手順を確認し、
看護経過も時系列で残します。
家族へ自分から説明しますか?
単独で原因説明をしません。
責任者と担当を確認し、
自分が伝える範囲と同席者を、
誰がどこまで伝えるかをそろえてください。




